俳句同好会月別優秀句(平成15年4月以降)

蔵前関西俳句同好会(つくし会)の各月の
秀作句を紹介します。             
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 4月例会(平成15年4月11日)

須磨の浦 笛の音幽か 松の花     市川
犬ふぐり 棚田に続く 明日香道    延
膨れては 渦となりゆく 春の潮    本多
師を訪へば 庭に色こき 君子蘭    熨斗
灯台の 荒磯(ありそ)に騒ぐ 春の潮  橋本
春の夜に 詰碁に興ず ひとりごち   國司
朝まだき 夢を破るや 恋の猫     古谷
野遊びに 球を蹴り合う 父子かな   中島

 5月例会(平成15年5月9日)

二人して 重ねし長寿 新茶汲む    橋本
天心を 目指し一気に 雲雀たつ    橋本
若草喰(は)む 牛の背中に 陽の光る  中島
御奉仕の 顔かがやけり 花会式    熨斗
鶯の 巧みな調べ 五月来る      中島
山並みの 風の運びし 緑かな     古谷
揚げ雲雀 峠の天を ほしいまま    国司
山笑う 護岸工事の まだ続く     中島

 6月例会(平成15年6月13日)

暮れなづむ 箕面の渓に 河鹿笛    中島
ビルの灯を 間近に映す 植田かな   熨斗
晶子碑や 暮るる武庫川 河鹿鳴く   市川
雲映す 植田静かな 真昼かな     本多
日本海に 植田なだるる 千枚田    国司
三山や 藤原京址 雲雀翔つ      中島
葱坊主 家庭菜園 賑わへり      鬼頭
湯の宿の 朝餉の窓に 七変化     橋本

 7月例会(平成15年7月11日)

梅雨の朝 妻の帽子の 目深なる    延
香水の 香に蘇へる 母の舞      中島
梅雨明の 鉾引く夢や 京童      熨斗
釣り人の 竿の光れり 梅雨の明け   延
梅雨明や 明石大橋 輝ける      鬼頭
誰が住むや 垣根に薔薇の 咲き乱る  熨斗
朝焼や 馬を走らす 草千里      橋本
咲きのぼる 梅雨明近し 立葵     古丸

 8月例会(平成15年8月8日)

朝市や 土の香充つる 茄子南瓜    古丸
四条行く 姉妹揃ひの 京浴衣     古谷
あめんぼう 映りし雲を なぞりけり  延
浴衣着て 大人めきたる 三年生    橋本
母の背に まどろむ稚児や 蝉しぐれ  国司
夏痩せや 映る肋骨 数へをり     熨斗
ホステスの 浴衣や藍の 匂ひゐる    市川
転居して 浴衣で踊る 事もなく    中島
グリーンに 乗りしボールや 赤とんぼ 鬼頭

 9月例会(平成15年9月12日)

蝉しぐれ 壷坂寺を 妻と行く     延
匂ひ初む 月下美人や 夏の宵     中島
二葉いま 紺を極むや 牽牛花     熨斗
緑陰に 絵を描く妻の 鬢ほつる    古谷
大夕焼 いらか輝く 紫禁城      鬼頭
天高し 祖谷の吊橋 きしみたる    国司
台風一過 乳牛ひたに 草を食む    橋本
酔芙蓉 作務衣の僧の 多弁なる    市川

10月例会(平成15年10月10日)

秋扇 名残の風を 畳み込み      熨斗
藤袴 飛鳥の禰宜は 話好き      橋本
新蕎麦の 香のほのぼのと 峠茶屋   中島
「山茶花忌」 とて母恋ふ父や 初時雨 市川
蕎麦を打つ 母の面影 妻に見る    古丸
一面に 黄金の波や 曼殊沙華     国司
紺碧の 空に媚いる 酔芙蓉      古谷
芒原 「武蔵の墓」に 靡きたり    延
秋高し 大阪城は 悠然と       鬼頭

11月例会(平成15年10月31日)

梓川 煌く帯と なる良夜       橋本
明日香路や 人気なき家に 柿すだれ  延
花岳寺や 秋の日浴びる 義士の墓   市川
晩鐘の 御堂に鹿の 影長し      古丸
足を病み 楽しみ探す 夜長かな    熨斗
長き夜や 古きアルバム 拾ひ見る   國司
長き夜を 息子とIT 談義かな    鬼頭
碧眼の 女の胸へ 鹿の鼻       古谷
秋の雲 仰ぐゴリラは 檻の中     中島

摂津峡吟行句会(平成15年11月15日)

紅葉渓 鮠釣る背の 孤独なる     橋本
山里の いで湯の宿や 秋うらら    中島
急湍に くるくる回る 枯葉かな    鬼頭
山峡に 赤く際立つ 柿一樹      國司
寒鴉 渓の流れを 見つめゐる     延
木漏れ日に せせらぎ映ゆる 紅葉渓  古谷
日の差して 紅葉の映ゆる 摂津峡    市川
紅葉渓 石を叩いて 鳥渉る      橋本
薄紅葉 客なき茶屋に 渓の声     國司
渓紅葉 巌頭に建つ 誓子句碑     中島
滝の声 紅葉の風を 起しけり     鬼頭

12月例会(平成15年12月12日)

野菊摘む 母を呼ぶ声 弾みたる    橋本
立冬の 空澄み渡る 千光寺      延
ぽつねんと 草食む牡鹿 冬に入る   國司
無人の家や ひつそりと咲く 野紺菊  中島
立冬や 日浴ぶ老母の 影長し     古谷
野菊摘む 母の想ひ出 摘む如く    市川
初霜や 木々の芽つとに 輝ける     鬼頭
木枯や 落葉背に付け 妻帰る     古丸
霜晴や いつまで続く 二人旅     橋本

 1月例会(平成16年1月10日)

石庭の 箒目確かと 初春(はる)を待つ 古丸
三丁の 包丁研ぐや 年の暮      市川
外風呂に 煌く昴(すばる) 去年今年  延
湯の宿の 心づくしの 雪見酒     鬼頭
玄関の 盛花にほふ 大旦(おおあした) 橋本
目覚めひて 琴の音流る 明(あけ)の春 中島
ルミナリエ 携帯電話の 子燥(はしゃ)ぐ 古谷
二日はや 売り声高き 行商人     國司
お年玉 いただき子等は 大騒ぎ    熨斗

 2月例会(平成16年2月13日)

盛り上げし 畝の日を吸う 春隣    古丸
節分の 鬼追う子の声 遠く聞く    國司
梅2月 胸にひやりと 聴診器     橋本
前屈みと なりて仏像 春を待つ    市川
地震(ない)跡の 中東の子や 春遠き  中島
春の日や 崎の灯台 靄かかる     鬼頭
両国の 櫓太鼓が 春を呼ぶ     古谷
床の間の 軸は赤富士 日脚伸ぶ    延
冬銀河 八十路二人の 露天風呂    橋本

 3月例会(平成16年3月12日)

進学の 知らせ待たるる 春の雪    橋本
掌(てのひら)に ひやりと重き 紅椿  中島
叡山の 映る湖岸や 風光る    熨斗
紅椿 くぐる眼下に 紺の海     鬼頭
頂きし 土筆朝餉の 主役なる     古谷
靄かかる 里の鶯 稚拙なる     古丸
椿落つ 水輪大きく 広がれる    國司
鹿寄せの ホルン流るる 春の山    延
ハイウエイの 埃をかぶる 紅椿    市川

 4月例会(平成16年4月9日)

春の海 真珠筏の 揺れもせず     市川
ゆらゆらと 遠き白帆や 春の海     國司
菜の花や 伊万里のかまど 煙立つ    延
花の雲 裾にまとひて 塔立てり    中島
ぽい捨ての 缶よりまぶし 春の海   橋本
大漁旗の 朝日にまぶし 春の海    古谷
雪柳 怒涛のごとく 身に迫る    古丸
紙風船 突くや舞妓の あでやかに   熨斗
朝の日の 池へなだるる 雪柳     市川

 5月例会(平成16年5月14日)

薪能 いよよ怪しき 古都の闇    延
法話終へ 尼僧静かに 新茶褒む    橋本
山里の 鐘の音遠く 朧なり     市川
慕いきし 一休和尚の 寺若葉     古丸
朧月 瀬戸の大橋 燈綴る       古谷
草餅食む 峠の棚田 見霽かし    中島
独り居の 一つで足りる 桜餅     國司
山開き 俗世を祓ふ 霊気かな     熨斗
桜餅 少女等卓に 香を残し      橋本

 6月例会(平成16年 6月13日)

どくだみを 軒に干したる 里の道   国司
鐘の音に うきくさ揺るる 寒山寺   古丸
風鈴や 留守居の軒を ほしいまま    延
胡弓の音 豫園の若葉 縫ふ如し     橋本
三毛猫や 十薬の花 踏み行けり     古谷
十薬や 夕日に映ゆる 晶子詩碑     市川
怖じ気立つ 庭の十薬 びっしりと    熨斗

 7月例会(平成16年 7月11日)

山車並ぶ 杜に祝詞の 朗朗と      橋本
今年竹 人なき家の 軒を越ゆ      古谷
松の花 海を眼下に 天守閣       古丸
三代の 潮掛け合うや 夏の海      延
遠花火 頼りに車 走りたる       国司
ボヘミアの 悲恋の古城 草茂る     中島
病院の 心尽くしや 星祭        市川

 8月例会(平成16年 8月 8日)

百日紅 茜雲にも 溶け込まず      市川
航涼し 姉妹の唱ふ ローレライ     橋本
飛騨の朝 湯煙流る 晩夏かな      古谷
風鈴や 生国ごとの 音を愛で      延
夕日差す 岩間に一輪 山あざみ     国司
大青田 鷺一斉に 飛び立てり      古丸
朝明けの 古城に蝉の 鳴きとよむ    橋本

 9月例会(平成16年 9月12日)

旅終る 庭に早くも 虫の声       延 
新涼や 流れに乗りし 笹の舟      橋本
ナース等の 語らい静か 百日紅     国司
暑がりの 父の墓石 洗ひけり      中島
烏賊火増ゆ 函館山の 展望台      古谷
台風や 若栗高速道に散り        古丸
マラソンや テープを切りし 汗眩し   橋本
若き日の 恋うすらぎぬ 大文字     中島
朝顔に 出迎えられし 無人駅      延 

10月例会(平成16年10月11日)

大和路の 地蔵の笑みや 萩の散る   中島
蕪村句碑を 装ほふ如く 萩こぼる   市川
畔に臥し 空見る藁の 案山子かな   古丸
遍路路 杖を止めたる 萩の寺   古谷
コスモスの 咲き乱れたり ローカル線 延
身に入むや 風化厳しき 無縁塚 橋本
運動会 走れ走れと 追ひかけし 国司
タンカーを 曳く船遅遅と 秋の海   中島

11月例会(平成16年11月14日)

石蕗の花 庭の一隅 照らしけり       中島
晩秋や 水面に映る 雲早し        古谷
星のごと 庭に散り敷く 金木犀       延
秋深し 暗き伽藍の 鎮まれり       市川
天高し 背筋伸ばして 一万歩       中島
紅小菊 掴まり立ちの 子が口に      古丸
花野行く 「旅愁」の歌を 口ずさみ    橋本
秋雨や 野良猫すくむ 縁の下       国司

12月例会(平成16年12月12日)

地震の傷 癒えし神戸や ルミナリエ    延 
団欒を 重ねし疵や 置炬燵      橋本
三日月や 二つの星の 間に入る      古丸
行く年や 天変地異の 多かりし     中島
熱燗や 春巻き一つ あれば足る      国司
店頭に 新走りうる 伏見かな      古谷
夫々に 木々よそおひて 谷紅葉     市川
「いろは松」の 菰巻明る 彦根城    中島
金比羅の 千の急磴 初もみじ      橋本

 1月例会(平成17年 1月17日)

初御空 鶏鳴高く ひろがれり     中島
初風呂や 黒潮蹴立て 船の航く     古谷
初御空 箒目美しき 杜の道     国司
一段と 眩しき春着の 三年生     橋本
静かさや 鎮守の森の 冬萌ゆる      市川
字の癖の 変わらぬ友の 年賀状      延 
門松の 薄雪冠る 一休寺        古丸
翁らの 年酒余所に 牌の音     橋本
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