『万葉集』とは
■『万葉集』の読み方
○平安時代初期
-「マンエフシフ」「マニエフシフ」
○平安時代中期から鎌倉時代-「マンエウシウ」
○室町時代以降-「マンヨウシュウ」「マンニョウシュウ」
■『万葉集』の名義
@万の言の葉を集めたもの。
A万世(代)の集で、幾代にもわたる集と永久の集の二説に分かれる。
B「葉」は「言の葉」で、歌を「葉」に例えたもので、沢山の歌の集。
C「葉」は紙を数えるときの助数詞で、多くの紙
数の集。
D多数の詩文を集めたもの。
■『万葉集』の編者
@聖武天皇勅撰
A平城天皇勅撰
B橘諸兄私撰
C大伴家持私撰
D大伴家持・大伴坂上郎女らの編纂
■万葉の時代
万葉の時代は、一般的には、舒明天皇元年(六二九)から淳仁天皇の天平宝字三年(七五九)までの約一三〇年間とされる。
万葉の時代以前の雄略天皇の歌(一・一)、磐之姫の歌(二・八五〜八八)などの古い歌も数十首含まれるが、いずれも伝承歌とされる。
■『万葉集』の歌数
『万葉集』に掲載されている歌の数は、四五一六首とされる。これは『国歌大観』による。
しかし、『万葉集』には、左注に句を言い換えた歌、重複して番号がとられた歌などがあり、それらを考慮すると、数十首から百数十首ほど増える。
■『万葉集』の巻数と写本
『万葉集』は、写本(巻子本)、版本(草紙本)の形で現在に伝わり、巻数は二〇巻である。
写本で最も古いものは、『桂本万葉集』(皇室所蔵)で、巻四の一〇九首のみが伝えられる。二〇巻が完備した写本は、『西本願寺本万葉集』(お茶の水図書館所蔵)が最も古い。
■万葉故地の分布
『万葉集』に詠まれた故地の分布は、四七都道府県のうち四一都道府県にも及び、八七・二パーセントにも及ぶ。
『万葉集』に詠まれていない都道府県は、北海道、青森、秋田、岩手、山形、沖縄の六道県である。
北端と東端は、宮城県遠田郡湧谷(わくや)の黄金迫(こがねはざま)、西端は、長崎県五島列島の福江島三井楽の美禰良久(みねらく)のア、南端は、鹿児島県阿久根市の薩摩の瀬戸である。
■万葉の風土圏
@ 大和地方(平城(奈良)、飛鳥、吉野)、約三〇〇か所。
A 近畿地方、約三五〇か所。
B 九州地方、約一〇〇か所。
C 越中地方、約六〇か所。
D 関東地方、約一五〇か所。
E 山陰地方、約二〇か所。
その他、大和とこれらの地方を結ぶ主要な往還道沿いの瀬戸内海、東山道、東海道、北陸道、紀伊道沿いの約一七〇か所。山陰を結ぶ道沿いの歌はない。
■万葉に詠まれた地名の数
『万葉集』に詠まれた地名の総数は、題詞、歌、左注を合わせると、約二七〇〇か所にも及ぶ。
この中、歌に詠まれた地名の数は、約一八〇〇か所で、重複している地名を除くと、約一二〇〇か所である。