平成16年6月午餐会

日時: 平成16年6月1日(火) 12:00-14:00
場所: 中央電気倶楽部317号室
講話: 人類は、何時どの様に、土器を、陶器を、そしてガラスを作り始めたか −オールド・セラミストのたわごと−
講師: 古丸  勇氏(昭和29年加工卒)

表紙スライド

スライドをクリックすると大きくなります

     

講話の要旨

  1)緒 言

  2)原始人の土との係わり

   ◎「土器」は、人類が初めて化学反応を利用した所産といわれているが、その原料である土・泥とはいつ頃から、どういう係わり合いをもったのであろうか?
  
  それに先立ち、人類の誕生を改めて眺め直し、土なり泥なり、その構成材料の粘土に、どういう認識を持ち、どう利用していたのかを考えてみたい。
  ◆熱帯雨林を降りた猿人がホモサピエンスに種を分化して
  ◆粘土−砂−水で構成される「土」の認識とその利用
  ◆粘土とは、 ・生成メカニズムと存在 ・成分、組成 ・乾燥特性 ・乾燥固化体は存在したか? ・焼成特性
  ◆遺物としての粘土焼成体 <一地母神、土偶、印章、護符、文字板、装飾品、土器 ・・・・・>
  ◆第1表 粘土の熱変化とその利用法
  ◆第2表 人類の進化と土との係わり

  3)土器の出現とその進展

   ◎土器出現の定説として、人類が農耕、牧畜を始め、定住化し、食料や時間に余裕の出た新石器時代に入った約1万年前の前後に出現したといわれてきた。
  
  ◆文明社会のパイオニア、メソポタミアにおける土器
  ◆日本の古い土器 <世界最古?>
  ◆世界各地の古い土器
  ◆縄文土器
   ◎縄文土器が文明先進国に先駆けて、なぜ早くから作られたか? @食文化に基づくニーズA原燃料の入手性B風土、風習との適合
  ◆土器の起源は、一元? 多元?

  4)ガラスそして陶器の誕生

  ◆土器の進展
   ◎大凡10K年前に出現した土器は、各地で独自に、或いは他地域の影響を受けて進展し、その展開は、歴史学者は編年性を、美術学者は人類の美意識の追求を、器形と器面に現れている彩色や彩文等から研究を進めている。しかし、ここではその実用性について追求してみたい。
  ◆土器の用途 ・祭祀用 ・食料の煮炊、蒸す、盛る、貯蔵
  ◆土器は多孔質であって、液体がしみだしたり、漏れたりする ・磨研土器 ・黒陶 ・漆の塗布 ・釉薬→陶器 ・胎土の磁硝化→b器(セッキ)、磁器
  ◆釉薬の胎土(粘土の焼成体)に付着する要因 ・熱膨張率、濡れ性、相互反応性
  ◆中国の釉薬 ・自然釉 ・灰釉
  ◆オリエントの釉薬 ・ファイアンス ・アルカリ釉(ガラス)
   ◎それでは、釉薬に用いたガラスは、どの様にして見出したのであろうか?
   ◎私の現役時代の体験は、 ・銅合金溶解用坩堝 ・鋳型は ・溶解時の滓がガラス? ・それが、坩堝や鋳型に付着すると・・・・
   ◎古代窯業製品三兄弟(ガラス、陶器、装飾タイル)の親は?
  ◆第3表 古代窯業製品年表
  ◆ガラスの進展 ・トンボ玉 ・コアガラス ・吹きガラス ・切子ガラス

   

OHP写真

(以下の資料は講演に使われたOHPフィルムをホームページ用に修正) 写真をクリックすると大きくなります




OHP表(第1,2表は「世界の歴史」より編集 江上・三浦 教養文庫より)(第3表は講演者編集)

−第1、2表はこちら◆ −第3表はこちら◆

午餐会幹事の感想

 古丸さんは、ご趣味に豊かでいらっしゃられ、ご専門の窯業関係からお入りになられた古美術ばかりでなく、文楽、歌舞伎でも豊富な知識をお持ちでおられます。 今回は、土器、陶器、ガラスが生まれるまでの歴史的考証について持論を公表いただきました。大いに参考になり、ありがとうございます。

(文責:奈良)


All rights reserved. Copyright (C) 2004. 蔵前工業会 関西5支部