2023年度 第36回関西蔵前講演会(公開講座) 報告
「健康長寿社会と知識社会を生み出すチャレンジ」
(中央電気クラブ(リアル)・ZOOMウェビナーによるハイブリッド講演)



蔵前工業会関西5支部(大阪支部、京滋支部、兵庫県支部、和歌山県支部、岡山県支部)は、2023年4月22日(土)13時より、大阪市の中央電気倶楽部大ホールにて、36回関西蔵前講演会を開催しました。WEB(ZOOMウェビナー)での視聴も可能な、ハイブリッド方式で行われました。会場、WEB合わせて100名以上のご参加がありました。
 今年のテーマはチェレンジと題して、最先端の診断技術を開発し、体温計で体温を測るような感覚で健康診断を可能にする生命理工学のチャレンジおよび、コミュニケーションにより新たな価値創造を目指した異分野の科学の融合を進めるベンチャー企業の挑戦についてのご講演でした。



<主催者挨拶>
蔵前工業会 井戸清人理事長、㈱国際経済研究所副理事長
ご挨拶の後に、ご専門の日本経済についてのお話をしていただいた。

 
    井戸清人理事長


<来賓挨拶>
東京工業大学 益一哉学長

ご挨拶の後に、東工大の近況および東京医科歯科大学との統合、入学定員の一部を女性枠とすることについてお話をしていただいた。

 
    益一哉学長



講演会テーマ1:「一滴の血液から自分の身体の状態を網羅的に把握できるAIプロテオミクス」
         ~”真に”幸せな健康長寿社会の実現に向けて~
講師: 東京工業大学 副学長 生命理工学院 教授 林宣宏氏

これまでは研究や高度医療でしか使えなかった、理論的には究極の健康診断法であるプロテオミクス(遺伝子産物で、身体の状態に応じて逐一変化する体内のタンパク質の状態を、網羅的に観る技術)をAIにより汎用化した。この技術を活用して長生きすることで、”真に”幸せな健康長寿社会の実現が期待されている。この取り組みについて、分かりやすく説明された。
 従来の二次元電気泳動装置を小型化・高性能化し、短時間で測定できるように装置開発を行った。その結果、多くのデータが得られるようになった。さらに、複雑で解析が難しい二次元画像データをAIにより解析する手法を開発した。微量の試料により、短時間で解析できるため、ビッグデータを得ることが可能になった。

   
    林 宣宏氏のご講演の1シーン



講演会テーマ2:「新たな概念と価値を生み続ける知識製造業」
         ~リバネス創業からの歩みと関西地域でのチェレンジ~
講師: 株式会社リバネス 取締役CFO 池上昌弘氏、大阪本社 石尾淳一郎氏

出前実験教室から始まった創業の経緯、社員の課題意識と情熱から生まれた様々なプロジェクト事例を通して、研究者と異分野の知識をつなぎ、新たな価値を創造する「サイエンスブリッジコミュニケーション」の重要性と、そこから実現する「知識創造」の考え方、そして、大阪・関西地域におけるリバネスの挑戦についてもお話しされた。

 主要なプロジェクトは以下の4つである。①中高生や先生の研究活動を大学・企業で応援する。②若手人材の研究キャリアを大学・企業で応援する。③研究者の研究・開発技術移転を企業と加速する。④大企業の新規事業をベンチャー・大学と創出する。

    
  池上昌弘氏の講演の1シーン          石尾淳一郎氏の講演の1シーン




最後に、関西蔵前講演会実行員の飯島大阪副支部長より、「講師への感謝と講演の感想、多数の参加への御礼、関係各位への御礼」を述べ、閉会した。

 
 リアル参加者の集合写真



 

                        関西蔵前講演会実行委員会
                        平野喜章(H07電子化学修)編集