第34回関西蔵前講演会 報告
(ZOOMウェビナーによるオンライン講演会


蔵前工業会の関西5支部は、4月17日(土)ZOOMウェビナーによるオンライン形式で、34回関西蔵前講演会
「地球環境、気候変動を次世代のために考えよう!」のテーマで開催しました。
 
冒頭に、三宅正一 大阪支部長(S47年化学)が「関西5支部が共催してきた本講演会は、昨年コロナ禍で中止しま
したが、今回はオンライン配信での開催に関西地区以外からも含めて多数の参加(150名強)をいただき感謝します。」
との開会挨拶が有った。

<来賓挨拶> 
東工大 益一哉学長

 ・「コロナ禍でも東工大は、学生・院生の70%が研究室に属している点が通常の大学とは異なり、一般に報道
  されている大学のイメージは当てはまらなく、独自の感染対策進めて教育・研究活動を継続している。」と述べ
  られた。

     
     
   益 一哉 東工大 学長  


佐藤勲 総括理事・副学長
 1.現在の組織、財政規模、執行部の状況、
 2.COVID-19への対応;コロナ問題の経緯、対応方針、POSTコロナとしてのオンライン化・ハイブリッド
   化等の促進、
 3.積極的大学経営;子会社の設立、キャンパス間の連携、田町キャンパスの再開発他東工大の近況が説明された。

     
     
   佐藤 勲 東工大 総括理事・副学長  


<主催者挨拶> 
蔵前工業会 井戸清人理事長、(株)国際経済研究所副理事長

 ・今後の活動ポイントでの「学生支援や産学連携支援における大学との連携」、「同窓会のネットワーク化・ITの
  活用(東工大オンラインコミュニティー、支部活動の推進)」、「国際化; 英語での発信、海外蔵前会の拡大等」、
  「科学技術の社会教育や産学連携の強化」が紹介され、また「世界経済の動向・見通し、デジタル企業への国際課税、
  カーボンニュートラル社会への円滑な移行」等政策上の優先事項について説明がされた。

     
     
   井戸 清人 蔵前工業会 理事長  


講演 1「気候変動に関する情報を多方面から見て考えよう」
講師: 竹内敬三 (S47化学工学、E&Eリサーチ(株)社長、蔵前工業会理事)


 IPCC第3次報告書で1000年間の気温変動を示すホッケースティク曲線が報告され地球温暖化が問題とされたが、
精査の過程で多くのウソが明かになった。・2000年から15年間には気温上昇は無かった。・42万年前からのCO2濃度と
気温との関係は相関しているように見えるが両者間に数百年のずれがあり、原因は気温上昇に伴いCO2の水中への溶解が
減りCO2が発生し、温暖化ではない等の指摘から、現在の温暖化はCO2が直接の原因とは言えないとする人も多い。
 46億年の地球カレンダーでは、24億年前、7億年前に全地球凍結の時代が有り、10万年単位での気温変動は10℃程度
ある。気温変動を近年3-40年間のデータで議論する時は、人類の文明がほんの1万年程での、温暖化により災害が多発
する予測等には疑問を呈する意見が多数出ている。
 シミュレーションによる予測では、モデルに入力する係数により結果は大きく変動する。 1970年代のシミュレーション
では温暖化より寒冷化が懸念され、事実2年間地球は過去1世紀で最大の寒冷化を記録し、大寒波がカナダ、ヨーロッパ、
米国諸地域で多数発生していた。しかし主要メディアはそれを黙殺しているとの非難もある。
 現在、CO2排出問題が注目され諸対策が検討・実行されているが、温暖化の対策はCO2一辺倒ではなく、冷静に
見る必要がある。地球温暖化問題は、マスコミ等による多数意見にだまされず、諸情報を自分なりに理解することが重要と
思う。

     
     
   竹内 敬三 氏  



講演 2「地球環境との調和をめざすバイオプラスチック:研究開発のこれまで、そしてこれか」
講師:土肥義治氏(S46修応用化学、東京工業大学名誉教授、理化学研究所名誉研究員)


 日本バイオプラスチック協会は、地球環境との調和を目指しバイオプラスチックによる循環システム(サーキュラー
エコノミー)を提言し、その柱が「バイオマスプラスチック」と「生分解性プラスチック」である。 20世紀型の石油経済
は大量にCO2を排出した。バイオエコノミーはCO2からバイオマスプラスチックを生産してCO2の循環をして、
2030年までにバイオマスプラスチックの生産を日本全体で20%にすることを目指している。生分解性プラスチックの普及に
より、G20大阪サミットの共同提言「2050年までに海洋プラスチックごみの汚染ゼロ。」を実現し、さらにプラスチック
廃棄物の焼却処理を生物処理へ転換して、循環利用率の向上も提案している。
 生分解性のプラスチックは、農業土木資材、生ごみ回収袋、食品容器等の種々の用途が期待され、一方バイオマス
プラスチックは生分解しないが、生物資源から生産されカーボンニュートラルとして環境に貢献する。
 生分解性のプラスチックの開発は、乳酸からのポリ乳酸が世界で100万t規模となり、次いで糖・植物油が微生物発酵で
製造されるPHBH(ポリエステル)は年5000トン生産されている。糖・植物油等からバイオポリエステル合成の研究開発は、
遺伝子組み換え微生物による生産性向上、タンパク質工学による酵素改質/分子量制御等にあり、課題は効率的生産法の
確立、高性能材料化、生分解性材料の寿命制御技術の確立がある。 次世代の課題は、CO2と水からポリエステルを直接
合成する技術を、遺伝子組み換え等の利用での開発が期待されている。

     
     
   土肥  義治 氏  


  

                         神野 直美(S48化工修)記  堀 学(S51経営)HP編集