23平成22年)関西蔵前講演会・懇親会 報告

蔵前工業会関西5支部(大阪支部、兵庫支部、京滋支部、和歌山支部、岡山支部)では、424日(土)午後130分より
大阪市北区の中央電気倶楽部において第
23回関西蔵前講演会ならびに懇親会を開催いたしました。

今回は母校の正式な後援のもと、関西地区における蔵前工業会の最重点行事としてこれまで以上の意欲で取り組みました。母校伊賀健一学長、蔵前工業会庄山悦彦理事長にもご出席・ご講演を頂くと共に、母校の本川達雄教授のご講演も頂き、豪華な講演会となりました。講演会は160名を超える盛況で、懇親会も90名余りの参加により盛会裏に終了することができました。会員の他にも如水会の方々や一般参加者の参加が多かったことも特筆されます。概要は以下の通りです。

[講演会]

今回の講演会では、庄山理事長の来賓挨拶・講演の後、伊賀学長と東京工業大学生命理工学研究科教授本川達雄先生のお二方の講演を頂きました。神山征彦本講演会実行委員長の司会のもとに、組織委員会委員長鶴田隆雄大阪支部長の開会挨拶で始まり、午後130分より530分まで5階大ホールにおいて講演会が開催されました。

庄山理事長からは、東工大蔵前会館の完成、社団法人体制の見直し、母校支援強化、如水会との協力推進等をポイントに蔵前工業会の現状と課題をお話し頂いた後、「経済危機を生き残る―ものづくりの強化―」という演題でご講演いただきました。産業界のリーダーとしての豊かなご経験から、特にものづくりの重要性、人財育成の大切さなどに重点を置き、今後の日本の産業社会の進む道筋を説かれました。
伊賀学長からは、「大学のこれから―レーザー研究から大学の運営へ―」という演題でご講演頂きました。言葉そして文字の発明から活字印刷、電気通信、更にはインターネットに至る人間社会における情報伝達法の変遷をお話になり、レーザー、面発光レーザー登場の歴史的位置づけを理解させて頂きました。ベートーベン、マーラーの音楽を第一次産業革命、第二次産業革命の時期と対応させ、情報伝達法が変化する時代性と合わせて解釈されるなど、芸術に疎い身には難解な所もありましたが、先生ならではのお話が聴衆の興味を引きつけました。また、大学は学術の本質(発見・理解の学術、創造の学術、社会安寧の学術)を見極めて新しい価値を創造する場、東工大は総合力を発揮して新しい価値を生み出し、これからの日本の生きる道を切り開く使命を持つ。世界最高の理工系大学を目指すと力強く表明されました。
引き続いて、本川先生から「ゾウの時間・ネズミの時間・現代人の時間」という演題でご講演いただきました。ハツカネズミの0.1秒から人間の1秒、ゾウの3秒など、どの動物も体重の4分の1乗に比例して心臓の拍動間隔は長くなる。心臓の拍動を単位とすれば、どの動物も呼吸は4回、血液体内一巡は80回、寿命は15億回の拍動となり、生物の感じる時間は生命システムのもつ周期性を基礎としている。一方向で不可逆な物理的絶対時間に対して、生物の時間は世代交代による種の保存まで包含した輪廻転生の世界での時間といえる。生物とは続くもの、廻って永続するようにできている。子供や孫は「私」であり、ご近所、周りの環境も「私」である。エネルギー消費を増大させて時間の進む速度を加速し、「私」の範囲が狭くなった現代社会においては、特に老後は若い時に比べゆっくりとした生き方をしていこうと警鐘を鳴らされました。きわめて真面目な内容を巧みな話術で笑いを誘いつつ聴衆を引きつけ、最後に自作の歌「生命はめぐる」を素晴らしいテノールで熱唱、「・・・、めぐるリズムの中で私は私は生きてゆく」と締めくくられました。

[懇親会]

会場を3階の大食堂に移して、午後545分から730分までの間、三宅稔男実行委員の司会のもとに、懇親会を開きました。野依辰彦蔵前工業会常務理事・兵庫県支部長の開会挨拶の後、本房文雄蔵前工業会常務理事・事務局長の来賓挨拶を頂き、櫛橋義雄京滋支部長のご発声による乾杯を皮切りに食事と懇談が進みました。盛況な会場内では、講師の先生方を囲む場が大賑わいなのは当然として、そこここで参加者間の歓談の輪が広がっていました。若手参加者や如水会の方々も含め、縦横斜めの交流が図られた懇親会でした。懇談の間に、遠藤三夫如水会大阪支部長と村上理一蔵前工業会徳島県支部長のご挨拶があり、また、新人の自己紹介など始終和やかに会が進みました。

宴もたけなわの中、予定時間も迫り、寺坂冬樹愛媛県支部幹事長のご指導による学生歌の斉唱と陶山靖彦岡山県支部長のご指導による恒例の東京工業大学歌の斉唱を行いました。学生歌は多くの参加者にとっては不慣れではありましたが、時代の変遷と新しい息吹を感じる機会にもなったようです。最後に池之内真佐美和歌山県支部長の閉会の挨拶をもって盛会のうちに散会となりました。

記:実行委員 坂本洋一(S46無機材料)