第32回関西蔵前講演会・懇親会 報告


蔵前工業会の関西5支部は、4月20日(土)大阪市の中央電気倶楽部にて、32回関西蔵前講演会及び
懇親会を開催し、講演会116名(会員89名、一般27名)、懇親会63名の参加者を得て、盛会裏に終了
しました。

坂本洋一組織委員長(S46無機、大阪支部長)開会挨拶があり、東工大の益一哉 学長「東工大の取り組みと
私の研究概要
について学長講演されました。


 将来に向けた課題に対応するために、学内ばかりでなく広く各界からの要人で構成された執行部の紹介の後、
新たな研究領域開拓のための社会連携、世界の研究ハブとしての地位維持発展に向けた組織的な基礎研究の強化、
国際連携の推進状況、資金獲得に向けた様々な取り組みを紹介いただきました。さらに、2020年のオープンに向けて
学生のための国際交流拠点を大岡山キャンパスに建設「外国人学生と日本人学生が出合い、絆を深め、まだ見ぬ未来を
生み出す」場として活用する構想のご説明がありました。
後半は益学長が取り組んでおられる高感度慣性センサ研究について、センサの構造や動作原理に関する大変わかり
やすいご説明の後に、パーキンソン病やアルツハイマー病の診断への応用に向けた取り組みを紹介いただき、また
大隅先生のノーベル賞受賞式や晩餐会に同席された時の様子もご紹介いただくなど、和やかな雰囲気の中で研究者
としての姿勢を崩さず、時代を先取りした執行部を率いて力強く東工大を前進させている益学長の姿勢が示され、
新しい大学の方向性を感じることが出来た有意義なご講演であったと感じました。

 続いて、先端建設技術センター理事長の佐藤直良様から「災害対策 その思想と知恵と技術」と題して、ご講演頂きました。

 
   [ 佐藤 直良 様のご講演 ]

 近年、水害や地震、津波、台風などの被害が繰り返し発生し、大きな社会課題となっている日本の現状について、
災害脆弱性の指摘と、先人の災害対策を紹介する中で、その時々の社会背景も踏まえた防災の思想、知恵、技術の
変遷について解説されました。国土面積に対する可住面積が小さい我が国の国土条件から、洪水や津波、地震の被害を
受けやすい地域に人口と資産が集中している我が国の根本的課題提起の後、古くは木曽三川の治水史、三陸津波などの
災害史の中から、災害に対応した先人の知恵と技術蓄積の紹介、宮城沖地震など震災を契機に進んだ建築基準改正など
行政の取り組みを説明いただきました。記憶に新しい東日本大震災の教訓から、「自分は大丈夫」といった私たちが
陥りやすい「正常性バイアス」の危険性を踏まえた行動指針について解説され、災害に対する三原則「想定にとら
われるな」「最善を尽くせ」「率先避難者たれ」という基本的な考え方をご教授いただきました。
 様々な災害の実例を具体的な数値で示していただき、災害に対する心得を童話「三匹の子豚」を例にとってわかり
やすく教授いただいたことで、防災に対する考え方の全体像が明確になり、自らの行動指針を考える貴重な機会と
なりました。


 最後にマネックス証券 取締役シニアアドバイザーの桑島 正治 様からは社会インフラと仮想資産と題して
ご講演頂きました。

   
    [ 桑島 正治 様のご講演 ]


 現在、組織を通す繫がりから、スマホを中心とする個人の世界を中心とする繫がり、端末を通して行われる個人、
企業、社会との直接的な結びつきに代わってきており、仮想通貨は、送金手数料や送金時間の問題解決のために、
テクノロジーオリエンテッドでスタートしたものであるが、処理スピード、分散管理上、マネーロンダリング対策、
課税等の問題が言われ、懐疑的な見方もある。トルコやベネズエラ等の新興国ではビットコインの取引が増加しており、
不安定な法定通貨の代替となっている可能性があり、統計によると、ビットコインとドルや株式市場の逆相関が
見られるとご説明されました。
仮想通貨規制は、世界的には、中国、ロシアは厳しく、オーストラシア、カナダ、スイスでは規制が緩く、日本は
その中間にあります。
仮想通貨に関る不正には、なりすましやソフトウエアの脆弱性の悪用によるものがあるが、不正対策は徐々に高度化
しており、デジタル犯罪は、仮想通貨関連だけではなくクレジットカード関連犯罪の方が金額的には圧倒的に多い。
また事業資金調達手段として、株式や債券発行の代わりに、投資家に「コイン」等呼ばれる暗号通貨を購入してもらう
ICOがあるが、このようなコイン発行の動きは、既に、プロ野球球団のファン・コミュニティー等や、日本の地方でも
有ります。仮想通貨を扱うATMは増加傾向にあり、世界中で4,000台超日本でも11台設置されており、オランダやドバイの
空港にも設置されています。
資産としての仮想通貨については、短期的な値上がり期待では投資すべきでないが、2013年にバブルが崩壊したと
言われたが、4年後に復活した経緯もあり、復活のカギは実用性、将来性への期待にあると話なされました。


 
  [ 講演会終了後の集合写真 ]


 懇親会では、講師の先生方を囲んで懇談が色々とされ、来賓の本房事務局長や関西5支部の支部長の挨拶が有り、
最後に全員で大学歌斉唱の後解散となりました。

 
 [懇親会終了後の集合写真]
 
[以下 懇親会の点描] 
   
 
   
 

 

 
  


 

                   神野 直美(S48化工修)、飯島 賢二(S57材料博)記  堀 学(S51経営)HP編集