蔵前関西俳句同好会(つくし会)
平成22年(2010年)01月 〜 12月



[ 橋本恭二氏(S21 化工)の俳画]
 
   
平成22年句会で選出された秀句を、1月から12月までまとめて本ホームページにて報告致します。

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【平成22年1月 句会作品】
睨み鯛 真中に新年 祝ひけり    橋本恭二
玄関の 飾りに籾を 食む雀     橋本恭二
湖面より 光沸き立つ 初景色    久保田耕平
茜色の 空にくっきり 初比叡    久保田耕平
去年今年 潮奏づる 瀬戸の海   國司喬伸
門口に 塵一つなき 初日陰     國司喬伸
信貴山の 寅に願掛け 賀状書く   古谷昭雄
淡路島 日の出待つ間の 浜千鳥   古谷昭雄
初詣 願ひの籠る 鈴が鳴る    
原 且則 
福笹の 鈴を鳴らすや 恵比寿顔  
原 且則 
初日の出 露天風呂をば 独り占め  延 義之
一族の 揃う師走の 湯宿かな    延 義之

【平成22年2月 句会作品】
紅梅の甘き香りや垣根越し      延 義之
春寒や友と出会ひの駅亭に     延 義之
紅梅や手折りし小枝かぐはしき    國司喬伸
訪ね来し門辺に友笑む梅日和    國司喬伸
春泥の道を子が押す車椅子     久保田耕平
空見上げ唄ふ名のみの春寒し     久保田耕平
読書室梅の一枝に和みたり      原 且則
逞しや春泥抜けて新芽立つ      原 且則
寒梅や京都か紀州か決めかねし   
古谷昭雄 
友送り家路を戻る余寒かな     
古谷昭雄 
児童等のわざと踏み行く春の泥   橋本恭二
女子なべて角巻きかむる越の國    橋本恭二

【平成22年3月 句会作品】
麗らかや園児等遊ぶ河川敷    原 且則
夕日背に庭いじりする日永かな     原 且則
鳥帰るほのぼの明くるふるさとよ    國司喬伸
梅咲きて苔むす石のいきかえる     國司喬伸
お水取り火の粉に浮ぶ妻の顔      延 義之
夜の障子少し開くや沈丁花       延 義之
木の芽晴れ球追う子等の声弾む    
古谷昭雄 
日の御碕熊野の春を輝かす      
古谷昭雄 
長池を釣竿囲う日永かな        橋本恭二
麗日の花嫁眩し神の園         橋本恭二
永き日や建築図面描き上げし      久保田耕平
麗日の水とたわむる小船かな      久保田耕平

【平成22年4月 句会作品】
落花舞ふ樹下に語らふ夫婦かな      國司喬伸
春休みおかず作る子厨占む       國司喬伸
里暮れて遠く幽かに初蛙        久保田耕平
突然の友との別れ春の雪        久保田耕平
窓辺から囀り届く寝覚めかな        原 且則
場所探し人・人・人や花の雲       原 且則
朝桜夜明けの空にちりばめし         橋本恭二
空き缶に蛙乗り行く大和川         橋本恭二
湿原の木道守る河鹿かな         
古谷昭雄 
囀りに写経の筆先しばし止む       
古谷昭雄 

【平成22年5月 句会作品】
万緑を残し園児のバス去りぬ      橋本恭二
桜ん坊赤子の笑みに笑み返す      橋本恭二
さくらんぼ葉蔭にのぞく二つ三つ     國司喬伸
ふるさとの孫の便りも風薫る      國司喬伸
金婚を祝う集いや五月晴        古谷昭雄 
龍馬伝酒の肴は初鰹          古谷昭雄 
風鐸の音鳴り止まず青嵐        久保田耕平
谿流を跨ぎずらりと鯉幟        久保田耕平

[ 8月27日の句会で]

【平成22年6月 句会作品】
叡山の朱楼に映ゆる柿若葉       古谷昭雄 
紫陽花はここが一番裏六甲       古谷昭雄 
田植時遠く聞ゆる子守唄       延 義之
すくすくと伸びては脱げり竹の皮     延 義之
先斗町旧友集ひ鱧の味         久保田耕平
降るほどに庭の紫陽花色を増す      久保田耕平
画材手に行きつもどりつ青田道      國司喬伸
五月晴青雲高き白鷺城        國司喬伸
さくらんぼう指さす稚児に笑み返す     橋本恭二
春一番霊柩車にて友逝きぬ        橋本恭二
紫陽花の葉先に滴雨あがり        原 且則
大輪のひまわり想ふ大葉かな       原 且則

【平成22年7月 句会作品】
公園に人影もなく蝉時雨       久保田耕平
赤々と暑き夕日や海に入る      久保田耕平
根を張りし高き向日葵陽(ひ)に向かう 原 且則
風渡る船の席から遠花火      原 且則
貴船郷歩き疲れて川床(ゆか)料理 古谷昭雄
蝉時雨句碑をめぐりて須磨の丘        古谷昭雄
目白きて庭の緑に染りたる            橋本恭二
蝉生れ(あれ)し穴踏みラジオ体操かな 橋本恭二
 

[ ご自身の描いた俳画を前に、橋本恭二さん (S21 化工)]


【平成22年8月 句会作品】
広野来て歩みの緩む(ゆるむ)虫時雨    久保田耕平
終戦日柱時計の音響く      久保田耕平
虫の音に足どりあわす山路かな      國司喬伸
終戦日空吹きわたる千の風  國司喬伸
秋耕や島の畑は崖っ縁 橋本恭二
虫の音をなつかしむ歳となりにけり     橋本恭二
帰郷して西瓜を囲む昼下り      原 且則
闇の中微かに届く虫の声 原 且則
新涼や木魚の響き堂内に     古谷昭雄
写経まえ終わり待たるる盆法話        古谷昭雄

【平成22年10月 句会作品】
庭隅に日暮れて集ふ虫時雨    國司喬伸
人気なき棚田よそほふ彼岸花      國司喬伸
星流る長寿の夫婦背を伸ばす      橋本恭二
夏の雲戦艦大和眠る沖  橋本恭二
家中が香に包まれて茸飯 久保田耕平
人里を離る深山に秋の川     久保田耕平
強日射し虫草叢に逃げ込めり      原 且則
星流る天空の旅果てしなし 原 且則
霧立ちて明日香の里の棚田かな     古谷昭雄
島の宿喜寿の集いや秋深し        古谷昭雄

【平成22年11月 句会作品】
鴨川の川面煌めく今朝の冬    久保田耕平
漣(さざなみ)を揺りかごにして浮寝鳥   久保田耕平
木漏れ日に初霜光る遊歩道      國司喬伸
里帰り毀る(こはる)竹馬納屋の隅 國司喬伸
色づきて木々の夕映え落葉にも      原 且則
朝もやや湖面静かに鴨の群れ 原 且則
立冬や加賀友禅の姉妹(あねいもと) 古谷昭雄
水鳥に餌やる稚児に爺の声        古谷昭雄

【平成22年12月 句会作品】
蕪村忌や禿びたる筆の捨て難し      橋本恭二
物干しを占有したる(おおね)かな 橋本恭二
須磨の海句聖をしのぶ小春かな 古谷昭雄
湯豆腐や白寿の母と夕餉かな     古谷昭雄
彼岸花母子手を取り明日香道 國司喬伸
ぬれ縁に野良猫寝込む小春かな 國司喬伸
冬茜凪ぎし湖面も空の色      久保田耕平
スーパーに並ぶ大根葉を切られ 久保田耕平
潮風に大根干すや青い空     原 且則
寒風や散歩の犬も服着たり        原 且則

(文責 古谷昭雄)
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