ペインクリニック

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 1、ペインクリニックとは

 ペインクリニックは疼痛外来のことで、あらゆる身体の痛みについて診断と治療を行う

麻酔科の専門分野です。痛みは非常に不快な感覚ですが、身体に起きた異常を知らせる

重要な警告反応でもあります。しかし、警告の役割を終えた痛みが持続すると、より強い

痛みや新しい痛みが現われて、いわゆる痛みの悪循環が生ずるのです。ペインクリニック

では、この悪循環を断ち切るため、まず痛みを取り去ることから始めます。

そこで、主に神経ブロック法を用いた痛みの治療を行うことになります。

 

 2、痛みの原因

 ペインクリニックの主な対象疾患は次のようなものです。頭部痛(後頭神経痛など)、

顔面痛(三叉神経痛など)、一肩痛(肩関節周囲炎など)、上肢旅(変形性類推症など)、

胸部痛(肋間神経痛など)、腰痛(腰椎椎間板ヘルニアなど)、下肢痛(変形性腰椎症な

ど)、膝痛(変形性膝関節症など)、帯状庖疹後神経痛、末梢血管障害痛、がん性疼痛、

顔面神経麻蝉、顔面痙學、中枢痛、幻肢痛、等々。これらの診断に際しては、レ線・CT・

MRIなどの検査が必要になることがあります。

 私が西新井病院のペインクリニックで診療した症例は次のようなものです。

腰・下肢痛(変形性腰椎症など)35%、帯状庖疹痛(帯状庖疹後神経痛など)17%、

頭・顔面痛(三叉神経痛など)12%、末梢血管障害痛(動脈硬化性閉塞症など)11%、

肩・上肢痛(変形性頚椎症など)10%、がん性疼痛6%、胸・腹部痛(肋間神経痛など)

5%、その他4%。このような事実から、整形外科疾患と脳神経疾患が最も多く80%を

占めることが知られます。

 

 3、痛みの症状

 痛みの種類には、本来の痛みの機能に由来する痛み(侵害受容性疼痛)、病的な神経障害に

起因する痛み(神経因性疼痛)、心情と密接に関係する痛み(心因性疼痛)など、多種多様な

ものがありますが、すべての痛みがペインクリニックの対象になります。

 近年、高齢化社会を反映して、いわゆる難治性慢性疼痛を訴える患者さんが著しく増加

していると考えられますが、このような患者さんに見られる痛みの症状は非常に複雑なことが

多いのです。

 

4、痛みの治療

ベインクリニックの主な治療方法は次のようなものです。

薬物治療(鎮痛薬、鎮静薬など)、局所注射(トリガーポイント注射)、神経ブロック(三叉神経、

肋間神経など)、星状神経節ブロック、硬膜外ブロック(胸部、腰部)、仙骨ブロック、関節内注射

(肩関節、膝関節)、等々。

これらの治療に際しては、特に難治性慢性疼痛の場合、根気よく治療を継続する事が大切なのです。

 私が西新井病院のペインクリニックで実施した治療は次のようなものです。

硬膜外ブロック30%、星状神経節ブロック23%、仙骨ブロック19%、神経ブロック8%、

トリガーポイント注射6%、薬物治療6%、関節内注射4%、その他4%。

このような事実から、各種の神経ブロック法が最も多く80%を占めることが知られます。

 

5、主要な対象疾患について

 1)変形性腰椎症

 老化性の椎骨変形により、下肢の痛みや疼れを訴える疾患です。

治療は、軽度であれば鎮痛薬が有効ですが、高度であれば仙骨ブロックや硬膜外ブロックが著効を

示します。もしMRIで著しい脊柱管狭窄症を認める場合には手術も考えなければなりません。

 

 2)帯状庖疹後神経痛

 水痘・帯状庖疹ウイルスに起因する帯状庖疹に続いて、頑固な痛みを生ずる疾患です。

治療は、鎮痛薬が効きにくいため、主に神経ブロックが行われます。

発症部位により、硬膜外ブロックや星状神経節ブロックが著効を示します。

 

 3)三叉神経痛

 原因は分かりにくいのですが、顔面に発作性激痛を訴える疾患です。

治療は、鎮痛薬と同時に、主に神経ブロックが行われます。

三叉神経は3枝に分かれますので、該当する神経ブロックや星状神経節ブロックが著効を示します。

 

 

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