I.  音楽療法とは?

II. 音楽療法の実践と効果

III. 音楽療法士に求められるもの

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I. 音楽療法とは?

(1) なぜ音楽を使うのか?

音の力:リラックス、情緒的発散

          :恐怖感 ex)ホラー映画のBGM

人間の感情に明確な影響力

音楽の要素=リズム、ハーモニー、メロディー

    (緩急、音色、強弱など)→様々なイメージ

・はずむリズム→身体が動きやすい

        明るい気分に・・

・長調、短調のメロディー 

和音→一体感  

不協和音→不安感、気分を暗く

・属和音の主和音への志向性を利用

non verbal(非言語的) Communication

ホメオスタシス(身体の恒常性)の機能

心身のストレス

ホメオスタシスのバランスの乱れ

適切な音楽

→ ホメオスタシスの回復

 

(2)音楽療法の歴史 《古代》

紀元前 古代ギリシアの時代の頃から

ピタゴラス:歌唱、楽器演奏が感情浄化に・・

プラトン:音楽は魂の薬、リズムとメロディーは・

アリストテレス:カタルシス(感情を吐き出す)

・ダビデ(琴の名手)の治療的演奏

・・・音楽療法の歴史 《現代》

 

・大戦後のアメリカでの音楽慰問活動

・大戦帰還傷病兵:精神面へのニーズ

・1950年:音楽療法の全米組織設立

・沖縄戦、ベトナム戦の兵士に多くの健康病む兵士

心の安住のない危機→バランス喪失の精神

音楽の治療的効果→市民権獲得



(3)日本音楽療法学会

50年ほど前から少数の専門家による実践、研究

音楽大学では「音楽心理学」「教育心理学」

個々に研究活動の国内の研究会

   → 2001年 日本音楽療法学会結成

     理事長:日野原重明先生



(4)音楽療法の定義

音楽の持つ生理的、心理的、社会的な働きを用いて、心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動の変容などに音楽を意図的、計画的に使用すること。(日本音楽療法学会)

MT:Music Therapy《音楽療法》


II. 音楽療法の実践と効果

【音楽療法の対象者】:高齢者(認知症など)、知的障害児・者、精神障害児・者、ターミナルケア・ホスピス患者など多岐にわたる


(1)高齢者施設におけるMT
特養(特別養護老人ホーム)、デイサービスでの実践経験:帰宅願望、抑鬱状態、気分発散、
会話促進などへの効果

・孤独感うすれ、安心感を生む

食事前の口の開閉、発声に利用

笑いを導くこと

「夏は来ぬ」→手作り草履の話

「ペチカ」→満州での苦労話

6割の方の気分改善に効果

一対象者からの押し花つき手紙の紹介



(2)歌唱活動の社会的・教育的役割

声楽家、音楽博士のI先生のことば

 「日本語のうたとことば」

コーラス指導の先生のことば

 「合唱の音楽療法的な役割」


(3)高齢者施設内での個別セッション

キーボードレッスン形式による心身のリハビリとしての効果

集中力の回復→リハビリへの意欲

会話の回復→生活の質の変化

ケア・マネ−ジャーとの連携支援

外部からの支援サービスとしての役割




(4)米国で垣間見た音楽療法の実践

【米国・オハイオ州でのMT事例】

@ 近親者を亡くした80代女性のケア

A 50代男性の脳性麻痺からの機能改善   

 

   「同質の原理」:iso principle




(5)ターミナル医療・ホスピス中での音楽療法

血圧安定、皮膚温度上昇(在宅看護の中で)

エンドルフィンの鎮痛効果

QOL(生活の質)の向上につながる

感動が血流量をふやす?




(6)児童療育支援としての音楽療法

・聴覚過敏のMくんの場合:ひらがなの読みへの効果

・情緒障害のYちゃんの場合:自他概念の認知から絵の表現へ

      [ 絵の紹介 ]



(7)有効な一部の曲の紹介

【音楽療法の方法】

(イ)受動的音楽療法:聴く、鑑賞(癒し効果)

(ウ)主体的音楽療法:自分が歌う、演奏する

・バッハ作曲:ゴールドベルク変奏曲

          →不眠症への効果

・ポドルスキーの10の関係論文(1954

    

          うつ状態の音楽処方

リムスキー=コルサコフ:「シエラザード」

シベリウス:「フィンランディア」

 

神経衰弱状態の音楽処方

ヘンデル:「水上の音楽」

   心身症の音楽処方

ベートーベン:「ピアノ・ソナタ第8番」

バッハ:「バイオリン協奏曲二短調」

ドビュッシー:「ピアノの為に」

ブラームス:「ピアノ・トリオハ長調」

ベートーベン:「ピアノ・ソナタ第7番」

モーツァルト:「ソナタイ短調」など

 

III. 音楽療法士に求められるもの

・療法上の目標に向けた音楽の適応的使用

扱う音楽のジャンルは多様

地方などでは土地の民謡も取り入れる必要

指導でなく支援する方法として

カウンセリングの要素(音楽による心理療法・守秘義務)

レク・療育・リハビリなどの要素も含む