平成16年4月午餐会

日時: 平成16年4月6日(火) 12:00-14:00
場所: 中央電気倶楽部317号室
講話: 壬申の乱 −大和・南河内・美濃−
講師: 赤染 義一氏(昭和25年有機卒)

壬申の乱の経過 (当日配布のレジメより)


AD661年        :大海人皇子は、天智天皇の娘の莵野皇女を迎えて正妃とする。また、皇子は東宮(皇太弟)となる。

AD671年 1月 5日 :大友皇子を太政大臣に任ずる。

       10月17日 :天智天皇の病は重くなる。大海人皇子は出家して、吉野の離宮(宮滝)に隠棲する。この際、自分の武器庫の兵器を返納。

       12月 5日 :天智天応崩御

AD672年 6月22日 :大海人皇子は、村国連男依、和?部臣君手、身毛君広を美濃の安磨郡に送り、挙兵して不破の関を塞がせる。

        6月25日 :積殖山口で大津京を脱出してきた高市皇子とその舎人の一行と合流する。遅れて大津皇子の一行とも合流。この日の内に三重郡家まで行く。     

        6月26日 :高市皇子が不破の関に軍をしく。近江朝の東国への徴兵の使いである書直薬、忍坂直大麻呂は不破で捕らえられ、磐鍬のみ逃げ帰る。

        6月27日 :大海人皇子は、高市皇子の要請により不破の関に行く。尾張国司、小子部連は2万の兵を率いて帰服。

        6月29日 :高市皇子を主力の近江路軍の司令官とする。また、紀臣阿閉麻呂、多臣品治を倭路軍の司令官とする。大伴連吹負(ふけい)は、大海人皇子に呼応して挙兵、

                飛鳥の朝廷の兵器庫を占領。

        7月 2日 :近江路軍、大和路軍は出撃。この時の軍旗は赤色であり、また、兵の識別のため赤い布を付ける。近江朝廷軍と大海人皇子軍は不破の玉倉部邑にて戦い、

                近江軍を撃退。近江の将、羽田公矢国一族はこの時帰服する。そこで、矢国を将として琵琶湖の北を回って三尾城を抜き、北より大津京を攻撃させる。

        7月 3日 :大伴軍は奈良山で敗戦。

        7月 5日 :倉歴の戦い

        7月 7日 :男依ら横河で近江軍を破り、その将、境部連薬を斬る。

        7月 9日 :鳥籠山(とこのやま)でまた近江軍を破り、その将、秦友足を斬る。倭路軍騎兵千余を倭に急派。

        7月13日 :男依ら安河の戦いに大勝。

        7月17日 :栗太の軍を討つ。

        7月22日 :近江朝による最後の防衛戦になったのは、瀬田の戦いである。この時、近江の将軍、智尊は戦死する。大津京が炎上。矢国ら三尾城を降す。

        7月23日 :大伴皇子は大津京から脱出するも、行くところなく、山前の山中で自決。

        9月12日 :大海人皇子は倭京に帰る。

参考文献

 1.坂本太郎、家永三郎、他 監修 「日本古典文学大系68/日本書紀 下」 p382 岩波書店(1992)

 2.高木市之助、他 校注 「日本文学大系4・万葉集一」 p28 岩波書店(1991)

 3.同上 p107 岩波書店(1991)

 4.黒岩重吾 「天の川の太陽 上・下」 中公文庫740 中央公論社(1982)

 5.宮脇俊三 「古代史紀行」 p138 講談社(1991)

 6.奈良文化財研究所編 「飛鳥・藤原京展 −古代律令国家の創造−」 p88 朝日新聞社(2002)

 7.直木孝次郎 「壬申の乱と古代の美濃」 大垣市文化財保護協会(1993)

 8.黒岩重吾 「古代史への旅」 p7, 241 講談社(1998)  

 9.遠山美都男 「白村江」 講談社現代新書1379 講談社(1997) 

10.遠山美都男 「壬申の乱」 中公新書1293 中央公論社(1996)

11.大津市歴史博物館編 「よみがえる大津京」 大津市歴史博物館(1998)

12.柏原市立歴史資料館編 「柏原市立歴史資料館・展示ガイド」 柏原市立歴史資料館(1995)

13.平野邦雄編 「大化の改新と壬申の乱」史話・日本の古代・第6巻 (株)作品社(2003)

14.岸 俊男編 「王権をめぐる戦い」日本の古代6 中公文庫 中央公論社(1996)

15.棚橋利光 「八尾・柏原の歴史」 松籟社(1990)

16.直木孝次郎 「持統天王」 人物叢書41 吉川弘文館(1968)

17.黒岩重吾 「影刀−壬申の乱ロマン」 文芸春秋(1997)

18.椎屋紀芳 「ロマン紀行・壬申の乱」 毎日新聞社(1992)

19.潮見 浩 「図解・技術の考古学」 有斐閣選書913 有斐閣(1988)

20.滋賀県教育委員会 「いにしえの近江再発見ガイドブック・緊迫の国際都市・大津京」 滋賀県教育委員会事務局(2002)

21.森 浩一、門脇禎二 編 「壬申の乱」 大巧社(1996)

司会者の感想

講師は、古代から続く赤染家の子孫として、ご先祖が活躍された「壬申の乱」について研究され、「ある古代渡来系豪族・赤染氏の系譜」という図書にまとめられました。今回のお話は、その研究を披露していただいたのですが、戦前までの歴史の教科書では削除されていたこの時代を紹介していただき、出席者一同にとり、大変に勉強になりました。ありがとうございます。

(文責:奈良)


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