日時: | 平成15年4月1日(火) 12:00-14:00 |
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場所: | 中央電気倶楽部317号室 |
講話: | 「ロボットも実験する」 |
講師: | (株) 住化技術情報センター社長 銅金 巌 氏 (昭和40年修化工) |
近年、コンピュータの持つ利便性を積極的に化学へ活用しようとする動きが活発になってきた。有機合成研究にコンピュータの利便性を徹底的に採用したら一体どうなるか、考察することにした。
上図にある従来の研究・開発の流れを右側のように小実験段階でコンピュータ活用の試みが行われている。可能な限りルールの組合せや既存の類似反応データをコンピュータにインプットして、瞬時に優れた合成ルートを何十、何百のオーダーで検索できる時代になった。
なかでも「実験による検証」のために必要な合成実験の自動化・ロボット化が進み、今まで研究者が行ってきた合成実験よりも10倍も100倍もの結果を精度良く再現できるようになった。さらに、「コンビナトリアルケミストリー」や「マイクロリアクター」の進歩発展が目覚ましく、研究・開発の効率化、迅速化を図る上で強力な武器になりつつある。
合成された有機化合物の分子構造は、質量分析(Mass Spectrum)、核磁気共鳴(NMR Spectrum)、並びに赤外線分光(IR Spectrum)等のスペクトル分析により行われるが、これらもコンピュータ化、ロボット化が行われて最終的には無人化の方向にある。
「将来は、新材料の製造にあたり、プロセス開発は不要になるでしょう。合成自動化としてのマイクロリアクターが沢山の数で設置されれば、製造装置もいらなくなります。その時は、皆さんに申し訳ありませんが、化工屋は失業します。」と冗談を交えた講話は、大変におもしろく、印象に残るお話でした。
(文責:奈良)